「何かトラブルや悩みが出た時は、引き算の考え方をして自分の肌の回復力をつけていかないことには…」(若林さん)
茂田氏

茂田)皮膚科学会や皮膚アレルギー学会などにも足を運んで、10年近く皮膚科学に関わってきましたが、皮膚の常識はだいぶ変わりました。10年前は、それこそスクワランなどにわっと注目が集まっていて、「皮脂が肌を保湿している」と言われていて。だから皮脂の代わりとなる油分を補おう、というのが常識になっていた。それがだんだん、セラミドが保湿の重要因子ということがわかってきた。化粧品メーカーの難しさとして、こうして常識が更新された時、自社が提唱してきたことを否定するというのはなかなか難しいのだろうな、と思います。だから、そのまま提唱し続けてしまって、都市伝説的に語り継がれていってしまう情報というのが美容業界にはあふれてしまっているというか。

MANAMI)自分次第では、インターネットを活用できるいまの時代、肌のしくみなどを正しく解説している情報に辿り着けるようにはなってきましたよね。アジアのほかの国も見てきて私が思うのは、日本は成分とか安全性へのこだわりも高い、そしてロジカルな説明がないと納得しない人も多いと思います。それゆえに、情報面では「何が正しいのか」というところがややこしくなってしまっている部分もありそうです。

茂田)原料とか成分の安全性については、それが単体で良い悪いという話よりも、その成分がどのように使われているか?のほうが重要です。シリコンが悪いのではなく、シリコンがその製品にどう使われているのか、で。パラベンという防腐剤にしても、パラベンの配合の仕方や、配合の量の問題のほうが大きいように思います。ネスノはノンパラベンではありますが、本当に防腐が重要な商品などがあった場合には、肌に刺激を与えない範囲の使い方や配合量をきちんと守れば、パラベンにこしたものはない、ということもありうると思います。「コレが悪い、ダメ!」という情報の出され方はちょっと多過ぎますね。

MANAMI)ノン○○と言われたりするほうが、わかりやすいからでしょうね。

茂田)先日も、市販の傘で「ノンシリコン!」っていう表記がついたものを見かけたんです(笑)。撥水性を持たせるために傘にシリコンでコーティングするっていうことはよくあるなかで、そこをノンシリコン!とする。でもシリコンってアレルギー性は非常に低い成分で、そんなに危険なものということでもない。逆に化粧品の世界では「食べても安全!」というアピールも見かけますが、口を介しての消化酵素と、肌の上での酵素のはたらきは違うので、それはどうかな?とよく思います。山芋が肌にふれてかぶれたりする人って、すごくたくさんいますよね。天然由来の成分、化学的な成分、どっちを信奉しているとか肯定しているということではなくて、鍵は使い方にあると思います。

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