「ハーブって、上手く使えば忙しい人が必要なものを手軽に取り入れられる手段になるな、と」(茂田)
茂田氏

茂田)今日はありがとうございます。まずは、MANAMIさんがヘアメイクさんになるまでの軌跡というのを教えて頂けますか?

MANAMI)はい、最初は15歳の時に札幌でモデルとしてスカウトをされたんです。そこから最初はモデル活動をして、その後、高校を卒業する間際に台湾に渡ってモデル、タレント活動をしていました。そういった芸能活動を引退したのが27歳の時で、そこからメイクの世界へという感じですね。台湾でエステとかメイクの学校に通っていたので、そのまま美容全般で活動していこうと思って、自分がメイクをされる側にずっといたということもあって、とくに師匠などにはつかずそのまま転身を。台湾にいた芸能人のお友達のメイクをしたり、PV撮影のメイクを担当したりメイクアップアーティストとして働いて、そして31歳で日本に帰ってきた、という感じですね。

茂田)台湾には、13年間いらっしゃったんですよね?今回お話しするにあたって、お聞きしたかったことのひとつは、日本以外のアジアでの傾向。台湾のモデルさんやタレントさんにメイクをする時はどういったことを重視されるのかな?と思いまして。

MANAMI)台湾でメイクアップアーティストとしてお仕事をはじめたら、すぐにたくさんの需要がありました。台湾の方々は「日本人だからおしゃれにメイクできる」と思ったようで。今でこそ、台湾の方もTPOに合わせてメイクをするようになりましたが、13年前頃までは芸能人や一部の美意識の高い方しか日常的にメイクをしていなかったんです。普段からすっぴん、お勤めしていてもすっぴん、スーツを着てもすっぴん。“メイクは別人になれるもの”という認識でした。一般女性は、人生の一大イベントであるブライダルの時とかに、いまでいう整形メイクや変身メイクのようなメイクをするのみでした。日本のようなナチュラルに見える、もともとかわいく見えるメイクというのは文化としてほぼなく、普段の服にも似合うような、私がするメイクはめずらしくて、なおかつ重宝されたのだと思います。

茂田)台湾の方にしていたナチュラルメイクは、日本でするメイクとまったく同じですか?それとも、台湾のそれまでの文化にやや合わせた濃さにしていたのでしょうか。

MANAMI)その真ん中という感じで、ナチュラルに見えるのだけど、実はすごくメイクをしている、という仕上がり感です。というのも、骨格、眉毛の生え方ひとつにしても顔のつくりがやっぱり違うので。日本人とまったく同じ方法でメイクをすると、「あまり変わっていない」印象になってしまうんです。目がくりっとしていたり、ちょっと彫りが深い、といった台湾の方の顔立ちの良いところを活かしつつ、肌質は日本で求められる感じに寄せるというバランスです。黒目がちに見せるためにカラコンを入れたり、ちょっと二重にしてあげる、といった“ちょい盛り”のテクニックも台湾には当時なかったので、そういったことを上手に使って顔を左右対称に見せてあげたりしました。ちょっとしたことなのですが、そういった工夫でナチュラルにかわいく仕上げてあげるとすごく喜ばれましたね。

茂田)なるほど。日本で書籍を出されていますけど、日本のメイクのニーズがここ数年で変わってきたなあ、と思われるところはありますか?

MANAMI)日本に帰ってきてすごく思ったのは、韓流ブームが来て、そのブームが少し落ち着いたところですごくナチュラルメイクの傾向が強まったなと思います。それまでは社会人になりたてだったり、専門学校卒で美容への興味がやや強かったりすると、リキッドファンデーションの上にパウダーファンデーションを重ねるくらい、不要にベースメイクが厚くなっている人が多かったように思うんです。肌質がオイリーとかテカリが気になるとさらにマットにしようと思って粉ものをたくさんのせてしまっていたり。それが、肌に必要なぶんだけつけるBBクリームなどが出てきて、最近ベースメイクはどれだけ“素肌がキレイに見えるか”がベーシックになったのではないでしょうか。デジタル化が進んでカメラの画質が良くなり、最近は肌のアラなども詳細に映ってしまいますよね。昔の画質なら、パウダーをしっかりはたいてややのっぺりさせて、光で飛ばすことでキレイに見せられたのですが、そういうテクニックはもう出来ない。なので、いまの主流はもとの素肌をキレイにするか、薄くしかつけていないのにキレイに見えるという方向に流れがきているように思います。

茂田)日本の化粧品は一周まわってしまって即効的な実感よりも安全性とか、繊細なテクノロジーを重視している感じがあって。同じ美容意識の高い国でも、韓国の化粧品のほうが“これを使ってキレイになるか、ならないか”というわかりやすさ、強い打ち出しを重視している感じがしています。そういった意味で女性の美容へのスタンスが、二極化してきたのかな?と感じています。

MANAMI)二極化、という傾向はあると思います。そしてひとくちに韓流といっても、そこにも2パターンあると思うんです。ひとつは、スキンケアブランドさんでイメージキャラクターになっている女優さんの肌を“水光肌”といったりするように、本当にナチュラルでキレイに見えるツヤ肌の女優メイク。もうひとつはK-POPに見られるような、インパクトのあるメイクというか。年代や好みによって、韓流と言われた時にどっちを思い浮かべるかは違ってくるかもしれないですね。

茂田)なるほど。いま「肌のトレンドといえばツヤ肌」といった一大傾向はあるんですか?

MANAMI)トレンドがないわけではないのですが、私が出している書籍のテーマもそうで、どちらかというとTPOに合わせる、いろんなものから選択できる多様化の時代に入ってきていますね。それぞれの顔の個性を認める、という点もふくめて。いつも同じメイク、いつもこういう肌づくりということではなく、メイクを着るものに合わせて、場面に合わせて変えていく、っていうことがしやすい時代になってきましたね。

茂田)メイクって不思議かつ面白い、といつも思うのは、プロの方と、一般の方との、テクニックの乖離がわりと激しいというか。商品もそうで、プロの方が勧めるものと、一般の方が良いとするものに、かなり乖離があるように思うんです。MANAMIさんとしては、どう感じられていますか?

MANAMI)正直私は、消費者の方と距離を感じないんです。というのも、私自身が普段からプチプライスのアイテムを使っていることも多いので。プチプライスでも発色が良いものはたくさんあるんです。金額が高いから、モノが良い、は今はイコールにならないと思っています。昔は、ブランドを持っていること自体がステータス、という時代もあったと思うのですが、今はどんなに売れているヘアメイクさんでもプチプライスのものは持っていますね。私のように消費者目線のまま、書籍などで紹介している方は多くはないかもしれないですが。個人的には、プロと一般の方の認識は近づいてきつつあると思います。

茂田)ファッションもそうですが、価格は安くても使用感の良いものは、近年になってかなり増えましたよね。

MANAMI)色や質感と、値段とのバランスをちゃんと見れる方は増えてきましたが、お肌にとってやさしいものかどうかについては、気にしている方と、そうでない方、かなり分かれてきますね。昔よりも敏感肌、肌にトラブルを抱えているモデルさんやタレントさんは、本当に増えているので。こちらとしてはメイクアップだけでなく、スキンケアから対応できるよう各種アイテムをそろえておかなくては、という気持ちはすごくあります。

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