「いわゆる西洋的な栄養学と薬膳のいちばん大きな違いって何だと思われますか?」(茂田)

茂田氏 茂田)お子さんにアレルギーがあって、っていうお話も以前お聞きしたと思うのですが。

鳥海)そうですね。結婚して家族ができて、3人子どもがいるんですけど、二番目の子はアトピーで、三番目の子は気管支が弱かったんです。喘息やアトピーって併行していることが多いと思うのですが、そういったこともあって、自分は薬を扱えるわけでもないですし、何ができるかなっていったらご飯で体調管理に近いことができれば、それはそれで一石二鳥かな、と思ったのがはじまりです。

茂田)料理で何か健康のためになることを、っていう時に、薬膳を選んだのはどういった理由からなのでしょう?

鳥海)確かに食事療法というと、マクロビオティックのような選択肢もありますし、人によってはそれが合っている方も多いと思うのですが、もともと私自身がストイックな人間ではなくて、お肉も魚も量はそんなにいらないけれど、やっぱり食べたい。 食事は基本「楽しいこと」というのが大事なので、「これはダメ、あれはダメ」っていう縛りが多いのはツラそうだなと。第一に「楽しい食」というのがあって、「その中でどんなことができるだろう」っていう優先順位で考えると、私の場合は薬膳が近かったんだと思います。

茂田)ご著書を読ませて頂いて思うのは、やっぱり"続けていく"っていうのが大事ななかで「食べつなぎの方法」とか面白いなあと思うのですが。ちなみに鳥海さんから見ていわゆる西洋的な栄養学と、薬膳のいちばん大きな違いって何だと思われますか?

鳥海)うーん、何でしょうね…。ほどほどの"ユルさ"かもしれませんね。もちろん西洋的な栄養学のいいところもたくさんあるのですが、私は薬膳の「おばあちゃんの知恵」的なところにすごく魅力を感じるんです。西洋の栄養学は「この栄養素は一日何ミリグラムまで」みたいな数字とか、わりと固定的な考え方だったり、足し算志向が強いと思うんです。でも季節は変わるし、そういう環境の変化に呼応して人間の体や体調も一定ではなく変化しますよね。薬膳の食の考えは、そういった変化にフィットしやすくて、引く、っていう引き算志向も面白いところだと思います。というのも、現代の日本で栄養失調に陥ることって確率としては少なくて、どちらかというと成人病とか、むしろ"過剰"が引き起こすトラブルのほうが多いと思うので。

茂田)その考え方は、私の化粧品開発のスタンスとすごく通ずるものがある気がします。

鳥海)私もネスノのサイトに書いてあることを最初に読ませて頂いた時、「あ、通ずるものがあるなと」思いました。過剰なことのデメリット、やり過ぎてトラブルを呼んでいることって、いまの時代はすごくあるんだと思います。

nesno商品一覧