第5回 “リンパ流し”で顔の透明感をアップ

皮膚の下の老廃物が肌色を濁らせる?

前回、第4回の「明るい顔に導く首・肩のコリほぐし」では、頭部の血液やリンパの流れについてお話しました。今回はその続き、顔の透明感アップについてです。くすみのない明るい顔色に導く鍵は、やはり血液循環とリンパの流れ。血液とリンパの働きについては、第3回「足がむくみやすくなる夏場のお役立ちケア」でも触れていますが、血液が栄養や酸素を細胞に運び、代謝活動が行われ、その結果生じた老廃物や不要な有害物質、外部から侵入した細菌などを回収するのがリンパの役目。体内を巡回する清掃車のような働きです。もちろん顔にも網の目のようにリンパが分布していて、その流れが滞れば、老廃物が肌内部に溜まり、これが"肌色濁り"につながります。血色の良い明るい顔色に導き肌つやを良くするには、血液循環を良くすることも不可欠。ただ"透明感アップ"のためには、ゴミ捨て作業がとても重要。また、血液循環は心臓のポンプ作用と筋肉運動がメインとなりますが、リンパの循環は少し違います。リンパは、呼吸、筋肉運動、外部からの圧によって緩やかに流れています。顔は、話したりあくびをしたり、表情の変化で運動をしていますが使う筋肉に偏りがあり、近年はパソコンやスマホを無表情で凝視していることも多く、全体を満遍なく動かすのが難しい部位。そういったことから、顔全体の透明感は外部からの圧、マッサージによるリンパ流しを習慣にすることでだいぶ差がつきます。

リンパが流れるリンパ管の途中途中にあるリンパ節は、リンパによって回収されたさまざまなゴミをろ過する場所。顔まわりには耳介リンパ節、顎下リンパ、鎖骨のくぼみにある静脈角などのリンパ節があります(第2回の「上半身ストレッチで効率良く健やか美人」もご参照ください)。全身に600箇所以上存在するリンパ節の中でも、静脈角は静脈とリンパが合流する、とくに大きなゴミ収集所。ここから心臓、腎臓、膀胱という浄化施設を経て、肌色濁りの原因でもあるさまざまな不要物は体外へ排出されます。

顔から首にかけてのリンパ分布
耳介まわりと鎖骨下をほぐして効率アップ

顔のリンパ流しは、手のひらを使ってさするように行いますが、その前に大きなリンパ節、耳介リンパ節がある耳介まわりと静脈角のある鎖骨下をほぐしておくと効果的です。というのも、おでこや頬、目もと、顎まわりは普段のスキンケアでも触りますが、耳もとや鎖骨まわりは忘れてしまうことが多いためです。せっかくリンパの流れを促しても、大きなリンパ節が詰まっていて渋滞を起こしてしまうようでは効果が半減。最初に大きなリンパ節を軽くほぐしておけば、より透明感アップの成果が出やすくなります。ほぐすといっても、圧をかけるときはぐいぐいと力づくで行うのではなく、ソフトな圧で組織をゆるゆると動かす感じでじんわりほぐしましょう。

耳介まわりのほぐし 鎖骨のくぼみほぐし
浅リンパは普段のスキンケアで流せる

リンパには、皮膚の浅いところで静脈と併行して走っている浅リンパ管と、より深い筋肉の近くや太い血管の近くを走る深リンパ管があります。浅リンパと深リンパは、最終的には2本の太いリンパ管となり、鎖骨下の静脈角につながります。リンパ管全体における浅リンパと深リンパの割合は約7:3と、浅リンパのほうが大半を占めます。ということは、外からの圧、リンパ流しを行うことは透明感アップだけでなく、老廃物をふくんだ体液の停滞で起こるむくみ、代謝不良によるしみ、しわ、たるみの予防などにも大いに貢献。浅リンパは皮膚の浅いところにあるので流す時は軽くなでるような軽いタッチで十分です。朝晩のスキンケアで保湿をする際、リンパの流れを意識しながらなじませるだけでできてしまいます。但し、保湿剤を少し多めにのせて指すべりを良くし、肌への摩擦ダメージを防ぐことはお忘れなく。深い呼吸でゆったりと行うこともポイントです。

保湿しながら手のひらでリンパ流し
保湿しながら手のひらでリンパ流し
保湿しながら手のひらでリンパ流し
いしずか久見子さん
文章・いしずか久見子さん
美容ライター"石塚久美子"として雑誌などに執筆のほか、"いしずか久見子"名義で、タイ式ヨガを取り入れたボディーワークにも従事。自らの経験を活かした"無理をしない"健康管理を提唱し、働く女性の味方として共感を得ている。2012年より、都内保健センターにおいて、精神保健デイケアでの社会復帰のための健康教育プログラムでアートレクリエーションを担当するなど、幅広い分野で活躍している。
キレイのいろは TOP
体のこと TOP
これまでの記事