第1回 内側からきれいの波を起す、呼吸と骨盤の話。

「代謝」って、つまりどういうこと?

はじめまして。今回から、体のことをお話させて頂くことになりました、いしずか久見子です。さて第1回目は、美容や健康に少しでも興味のある女性なら、わりと身近に見聞きしている「代謝」についてです。新陳代謝、基礎代謝、といった使われ方もありますが、具体的に体の中でどういうことが起こっていることなの? と問われると、説明するのが少し難しいですよね。「代謝」とは、酸素と栄養を血液から取り込み、細胞でエネルギー(熱)を作り、その際に出た老廃物を排出する、というところまでのサイクルといって良いと思います。「代謝」は、人間の体を形づくる約60兆個の細胞ひとつひとつで行われています。つまり、内蔵の働きはもちろん、血色感やキメの密度など肌の質にも関わってくる、生命活動の根源ともいえる機能。このサイクルがどこかで滞ると、内蔵や肌へ影響が及び、メイクでカバーしようと頑張るも、化粧ノリからしてふるわない、という残念な状態に。

“呼吸”あっての「代謝」サイクル

つまり、代謝アップや血流の改善は、体の中からいきいきとキレイの波を起していくためにどうにも無視できない要素。そしてこの「代謝」の重要なスイッチとなるのが、酸素を取り込むための"呼吸"です。いまこの瞬間も、眠っている時も、24時間365日、呼吸をしているから代謝が行われ、細胞を分裂させたり、体を動かしたりするためのエネルギーを生み出すことができています。人の体は本当に神秘的で上手くできているもので、緊張とリラックスを切り替えるため、"呼吸"という機能は自律神経によってコントロールされています。過度に緊張すると、思わず息を止めてしまうこと、ありませんか? 強いストレスによってそういった呼吸リズムの乱れが続き、自律神経の調子が狂うと、呼吸は知らないうちに浅くなり、息苦しさを感じたり、当然ながら細胞への酸素供給が減るので、代謝が鈍くなる=エネルギー不足になっていきます。そしてこの逆を考えれば、呼吸を意識的にコントロールすることで、自律神経の調子を自ら整えることができたり、代謝を高める=エネルギーを体に行き渡らせることもできる、ということになります。

代謝を上げる呼吸には準備が必要

呼吸をするだけで、ストレス緩和、代謝アップ、なんて素晴らしい! でも、心身を調えるための深く長い呼吸=腹式呼吸を習慣化するには、ちょっとしたコツが必要です。そのコツとは、実は体をがちがちに緊張させない、骨や筋肉や内蔵に負担をかけてしまわない"姿勢"にあります。「代謝を上げる深い呼吸をするために、さあ姿勢良く!」そんな時、どんな姿勢を取りますか? まずは片足に体重をかけていたなら、両足にきちんと体重をのせて立つ。これは確かに大事ですよね。次は、胸を張る?背筋を伸ばす?これらは残念ながら、体を部分的に強ばらせて、首や腰に負担をかけてしまいがちです。両足できちんと立った次にすべきは、実は「骨盤を立てる」です。

骨盤を立てる

A「骨盤を立てる」とは、Bのように骨盤が前に倒れて腰が反ってしまう状態でもなく、Cのように骨盤が後ろに倒れて猫背になってしまう状態でもない、ニュートラルな状態を指します。骨盤がどちらかに倒れ過ぎると、骨盤内におさまっている内蔵が押しあって、腹式呼吸の要となる横隔膜(みぞおちのあたりにある)が十分に動けなくなってしまいます。骨盤を前後に倒してみて、どちらにも偏っていない状態が見つかると、背骨は理想的なS字カーブを描き、内蔵も正しい位置におさまりやすく、横隔膜が十分に動いて深い呼吸がしやすい状態になります。

姿勢×呼吸でどこでも代謝アップ

たとえば電車でつり革につかまっている時でも、キッチンでお鍋の前に立っている時でも、両足にきちんと体重をのせて、骨盤を立てる、これで準備は完了! あとは、腹式呼吸で深く長い呼吸を心がけていくだけで、代謝を高め、自然と緊張をほぐすストレスケアまでできちゃいます。腹式呼吸のやり方は、インターネットで検索すればいろいろ出てきそうですが、今回はより代謝アップを促せる、ルーシーダットン(タイ式ヨガ)で行う腹式呼吸をご紹介します。

1

息はまず吐くことからはじめて。いま吐き切れていない呼吸を、口からフーッとお腹を凹ませながら吐き切ります。(吐き切れているのかな? と自分でもわからない場合は、フーッの後にろうそくを消すようにフッフッフッと最後に3回大きく吐き切る)

1

もう吐く呼吸がない、というところまでいったら口を閉じて鼻から大きく吸って、お腹はポーンと力をゆるませて自然とふくらむままにします。

1

鼻から吸い切って、お腹がふくらんだ状態になったらそこで呼吸を止め、腹筋を使って少しお腹を凹ませます。2?3秒数えたら、口からフーッと細く長く息を吐いてお腹の力もゆるめます。

呼吸法の良い点と念のための注意点

腹式呼吸を繰り返すうちに、代謝が高まってきた合図として体にじわっと温まり感を感じ始めます。お腹をへこませたり、ふくらませたり、腹筋を使うので腸の蠕動運動が刺激され、便通を促すきっかけになることもあります。今後、いろいろな動きをご紹介する際、この呼吸法を思い出して組み合わせて頂くことで、より運動効果や心と体の調整効果を上げることができると思います。但し、繰り返す回数や呼吸を止める時間によっては、予想以上にパワフルな効果をもたらすことがあるので、不整脈、過呼吸など血圧や呼吸器系に不安がある場合は十分に留意して行ってくださいね。ではまた次回、お会いしましょう♪

いしずか久見子さん
文章・いしずか久見子さん
美容ライター"石塚久美子"として雑誌などに執筆のほか、"いしずか久見子"名義で、タイ式ヨガを取り入れたボディーワークにも従事。自らの経験を活かした"無理をしない"健康管理を提唱し、働く女性の味方として共感を得ている。2012年より、都内保健センターにおいて、精神保健デイケアでの社会復帰のための健康教育プログラムでアートレクリエーションを担当するなど、幅広い分野で活躍している。
キレイのいろは TOP
体のこと TOP
これまでの記事