「一番安心なのは、ごく微量で、肌に負担がないレベルのものが、どれぐらい入っている、と開示してもらえると安心できます。」(石塚さん)

茂田)石塚さんは、石油由来の原料とかに抵抗はありますか?

石塚)全部が全部拒絶はしていませんが。たとえば、界面活性剤ってどれぐらい必要で、どこからが負担か、というさじ加減が難しいですね。さっきのシャンプーの話と一緒で、泡が全く立たないのは私も含め結構フラストレーションになる方が多くいることを取材などからも感じます。

対談風景 茂田)なるほど。

石塚)一番安心なのは、ごく微量で、肌に負担がないレベルのものが、どれぐらい入っている、と開示してもらえると安心できます。 植物由来の界面活性剤は、一瞬従来のものより安全だと思うのですが、むしろ界面活性効果のレベルのほうが重要ではないかと思います。肌のバリア機能を壊さないで、表面のいらないものだけを落としたり、作用の強弱の問題なのかもしれないですね。

茂田)自分たちはネスノというブランドを通じて、まずは安心して使えて、その上で保湿効果だったり、保湿効果に付随して生まれてくる様々な効果を提供しようと考えています。石油由来のものを使わないと縛ってしまうと、安全なものを作るのが逆に困難になるんですよね。石油由来の成分はすごく怖いもの、自然由来だと安全なもの、という市場イメージがあって、そこをどう理解してもらえるか、すごく大きな課題だったりします。

石塚)たとえば、植物由来のものでも自然に還らないようであれば、石油由来の界面活性剤とそんなに変わらないと思ったりもしますますが。。。

茂田)石油由来でも、これは絶対使いたくないものがいくつかりますが、それを植物由来に置き換えればいい、という問題でもないんです。植物由来のものは主成分に対して、副成分がかなり入っている場合が多いから、主成分は安全確認ができていたけど、副成分がどう影響を及ぼしているのか証明しきれていない部分もあります。植物由来であっても、原料もしくは、作るプロセスで問題が起きることが多々ありますしね。これは本当に神のみぞ知る領域であって、得てして予想しないところで急にトラブルが起きるんです。

石塚)ちょっとしたブレンドによって、毒にも薬にもなりうるんですよね。

茂田)そうですよね。皮膚科のお医者さんが必ずワセリンを処方するのは、ワセリンは石油由来だけど、不純物がないからプラスにもマイナスにも働く要素がなく、すごくニュートラルなポジションなので処方されるそうです。

石塚)傷んでいる部分を確実に保護してくれるという目的においては確実ですものね。あと注射の時、エタノールで消毒するけれど、あれをいちいち植物性の殺菌効果のあるものでやろうとすると、量の違いや温度などで効果に差が出るのかな、と思います。一概に、石油由来のものが肌にとって悪いとは言い切れませんよね。

茂田)つまり共存ですよね。食べられるものだから肌に安全で、食べられないものだから安全じゃないということでもない。消化器系の代謝のメカニズムと肌の代謝のメカニズムは全く違うものだから、食べて安全なものが、肌につけて安全という保障は全くないんですよね。たとえば、山芋を肌に塗ったらかゆくなるじゃないですか。

石塚)実際、食べると全然平気な場合が多いようですね。

茂田)ネスノでは、石油由来のものでも吟味した上で扱うようにしています。そうすると、アンチナチュラル派、アンチオーガニック派と言われてしまいますが、全くそういうことではありません。ナチュラルでも、オーガニックでもいいものがあれば、それはすごくいいことだと思いますし、積極的に使ってみたいと思います。製品を開発するときに、やっぱり"聞こえ"や"印象"というものも大事だと思っていますから。

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