第3回 「脱!なまけ肌!」で素肌美人。

「なまけ肌」ってなに?

お肌のキレイな友達に「特別なスキンケアしてるの?」と訪ねてみると、「特別なことなんて何もしてないよ。」との答え。「絶対にウソだ!」なんて思った経験ありませんか? でも、実はそれがウソではないのかもしれません。私もイベントなどでたくさんの方のお肌のカウンセリングをさせていただきますが、スキンケアにお金も時間もかけている人に限って、お肌のキメが乱れていて悲惨になっていることがあります。お肌というのは不思議なもので、傷ができても自然と治っていくように健康な状態をキープしようとするチカラが備わっていて、これはどんな高級な化粧品にも太刀打ちできない優れた機能です。ところが過保護にお手入れすると、お肌は「自分が頑張らなくても大丈夫」と勘違いし始めて、その機能をどんどん低下させていくのです。過保護に育てた子供がわがままで自分一人ではなにもできなくなってしまうように。お肌にも「かわいい子供には旅をさせろ」の精神で、素肌力を高めるためにお手入れを控えることも大切なスキンケアなのです。

「なまけ肌」ってなに?
「スキンホメオスタシス」というお肌のチカラ

「スキンホメオスタシス」というお肌のチカラ 「スキンホメオスタシス」聞き慣れない言葉だと思います。もともとホメオスタシスとは、気温が高ければ汗をかいて体温を一定に保とうとする体の恒常性を意味します。このホメオスタシスがお肌にもあって、乾燥した環境にさらされれば、乾燥に強い肌へと変化して行くし、異物が入り込めば排出しようとする。炎症を起こせば鎮めようといろいろな機能が働くのです。ところが、いろいろなお肌のトラブルに対して対処療法的なスキンケアを行うと、そのスキンホメオスタシスがくるい始めてしまいます。私の経験上、ニキビで悩んでいる人が洗顔を強化して、乾燥で悩んでいる人が保湿を強化して、くすみで悩んでいる人がピーリングをして、そういう対処療法で根本的に悩みが解決した人はほとんどいません。対処したときは一瞬良くなったように思えるのですが、時間がたてばもとに戻ってしまいます。ダイエットで言えばリバウンドみなたいなものです。それもこれも、このスキンホメオスタシスが正常に機能していない。もっと言えば、間違ったお手入れでスキンホメオスタシスを崩してしまっているからなのです。

※ここで記載させていただいた内容は、あくまで健康な人のお肌の場合です。病気を伴う場合は医師のもと適切な治療が必要です。

まずは自分のお肌のニュートラルを知ろう!

まずは自分のお肌のニュートラルを知ろう! 以前に私がカウンセリングさせていただいた方で、笑うと目尻にひびが入るようにつっぱり、口の周りが粉を吹いたようにカサカサするひどい乾燥肌で悩んでいる人がいました。私はその彼女にしばらくの間、メイクもやめ、洗顔もぬるま湯ですすぐだけ、保湿もしないようにすることをすすめました。その後、2週間程度たったときつっぱり感も粉ふきも見事に改善されたのです。いろいろなお肌のトラブルが起こる原因は、過去から今まで行ってきたスキンケアの影響の蓄積です。ですから、全ての影響を一度取り去ってみて、自分のお肌のスキンホメオスタシスがきちんと働くニュートラルな状態をまず知ることが大切です。普段の生活で2週間なにもしないのは現実的ではないと思います。例えば週末のお休み2日間でも構いません。また、メイクを石けんで洗い流せるものにして、夜1回石けんで洗うだけにするのでもいいです。できる範囲で自分のお肌のニュートラルに近い状態を感じてみてください。

それでもスキンケアが必要なワケ・・・

ここまでスキンホメオスタシスを知ると、「じゃあ、スキンケアなんてしないほうがいいんじゃないの?」と思うかもしれません。私も化粧品開発という仕事を続けながら、そこが一番重要なテーマでした。そこで、私が行き着いた結論をお話しします。 先ほどのひどい乾燥肌で悩んでいらっしゃった方、乾燥肌が改善されてから、なにもしないでさらに2週間経過したとき、今度は肌色が少し黒ずみ透明感が少しなくなってしまったと相談を受けました。お肌は乾燥した環境にさらされると乾燥に強い肌へ変化していきます。その仕組みは表面の角質を厚くしていくことなのです。角質は灰色のため厚くなってくると肌色がグレーになって透明感を失うのです。これもスキンホメオスタシスがきちんと機能している健康なお肌なのですが、キレイなお肌ではなくなり始めてしまったのです。
皆さんが目指したいのは「健康でキレイなお肌」だと思います。さらに、メイクもしなければならないし、メイクを洗い落とすことでお肌は乾燥しやすくなってしまいます。ですから必要最低限の保湿ケアはやはり重要なのです。トラブルの少ない「健康でキレイなお肌」そのためには、過剰でも不足でもないバランスの取れたスキンケアが大切なのです。

それでもスキンケアが必要なワケ・・・

キレイのいろは「お肌のこと」ではこれからしばらくの間、この「なまけ肌」をテーマにお肌にとってバランスの取れたスキンケアの方法、そしてスキンケア化粧品の選びかたをお伝えして行きたいと思います。

茂田正和
文章・茂田正和
2002年より化粧品開発に従事するとともに日本化粧品技術者会、皮膚科医学会に参加し、化粧品学、皮膚科学を学ぶ。2004年にスキンケアブランド「ネスノ」を開発。2010年にスキンケア、ボディーワーク、フードなどトータルライフスタイルから築く真の美容を広く提唱すべく「バランスケア アソシエーション」を設立。多くの美容関係者とともにセミナーやワークショップを開催。ファッション誌リンネル等でも美容に関わる記事を執筆する。
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